社会課題を“体験”に変える—LINEヤフー 3.11防災花火

LINEヤフー株式会社

OUTLINE

「日本の防災行動者を増やす。」
そんな想いから生まれたのが、LINEヤフーによる「3.11 防災花火」。東日本大震災から10年以上が経ち、記憶の風化が進む中で、改めて“防災”を考えるきっかけをつくることが求められていた。
「誰でもできる防災行動ってなんだろう?」という問いに対して、私たちがたどり着いたのは「身近な避難場所を知ること」。そして、それを象徴的に伝える手段として選ばれたのが“花火”であった。
実は、避難場所の設置距離の目安と花火がきれいに見える距離は、どちらも約2kmとされている。つまり、「避難場所から打ち上げた花火」は、命を守る場所を知るきっかけになるーそんな気づきを届けるために、3月11日、明治神宮外苑をはじめ、複数の会場で防災花火を打ち上げた。

博報堂プロダクツは、企画段階からこのプロジェクトに伴走。ロゴやキービジュアルの開発、花火演出の設計、会場調整、カウントダウンセレモニーの運営、Webサイト監修、ピクト図制作まで、幅広い領域でこの企画を支えた。なお、当社において実際に花火を打ち上げる施策は初の試みであり、社内でも前例のないチャレンジであった。
結果として、メディア露出やSNSでの拡散も広範囲に及び、目標を大きく上回る成果を達成、避難行動の促進や防災意識の浸透に寄与した。クライアントからも「防災を自分ごと化する象徴的な施策」として高く評価されたとともに、カンヌライオンズ2025のPR部門においてショートリスト入りを果たした。

LOGO&KEYVISUAL

メッセージを伝えるキービジュアル開発

「花火の下が、命を守る場所。」
このメッセージを一目で伝えるために、当社アートディレクターを中心に、何度も検証とブラッシュアップを重ねながらキービジュアルを開発。避難場所と花火の関係性を直感的に伝えるデザインは、SNSでも大きな反響を呼んだ。
また、東北エリアの地元紙・河北新報では、子どもたちの視点で描いた未来への希望を込めたビジュアルを展開。地域に根ざしたメッセージ発信にもつながった。

FIREWORKS

オリジナル花火で描く、防災のかたち

「花火を打ち上げる場所=避難場所」という新しい視点から、会場選定は慎重に進められた。自治体との調整や安全基準の確認を重ね、最終的に明治神宮外苑、駒場高校、川崎市の3カ所での実施が決定。演出面では、老舗花火業者「珠屋」と連携し、避難行動を想起させるストーリー性のあるプログラムを構成した。
さらに本施策では、避難場所マークをモチーフとしたオリジナル花火の制作にも挑戦した。アートディレクターを中心にプランニングを行い、花火師の監修のもとで実製作。テスト打ち上げを経て、形状や色彩の再現性を検証。本番では、想定通りの演出を実現することができた。
単なる花火イベントではなく、「防災を自分ごと化する」ための象徴的な体験として実現を目指した。

EVENT

防災を届けるセレモニーの場づくり

明治神宮外苑で行われたカウントダウンセレモニーには、東日本大震災の記憶を若い世代に伝えていくため若年層を代表して「ゆうちゃみ」さんが登壇。LINEヤフーの役員や防災専門家、駒場高校の生徒たちとともに、花火の打ち上げを見守った。
当日はLIVE配信も実施され、全国の人々が防災花火を体験できる設計とした。防災クイズや避難場所検索の紹介など、参加型コンテンツも盛り込み、視聴者の防災意識を高める構成となった。
本セレモニーの企画・運営は博報堂プロダクツが担当。登壇者のキャスティングから進行設計、演出、配信設計に至るまで、現場全体を統合的にプロデュースした。

記事公開日:2025年9月30日

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